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一人生き残ってしまった。
愛する人を守る事も出来ずに、一人だけ生き残ってしまった。
リオンはリリスの頬を撫でると、冷たくなった唇に自分の唇を重ねる。
「少し、待ってておくれ。仇を討ったら、側にいくから」
成長したリリスの胸に光る首飾りは、結婚の記念にリオンが贈った物だ。
それを彼女の首から外し、自分の首へと掛ける。
☆☆☆☆☆
それから一週間が経ち、リオンは一人村人を埋葬し続けていた。
そんな所に、騎兵の一団がやって来た。
「隊長。人が!生存者が!」
リオンを見つけた若い騎士が、驚いた様に声を上げる。
その声に、馬で駆けてくる一団。
「よく無事で…」
「…あんた。この村が無事に見えるのか」
軽蔑する様に視線を送ると、騎士は失言だったと
「申し訳無い」
「…チッ…それで、今さら何しに来た?」
「それは勿論、村の救援に…」
騎士相手に舌を鳴らし、射抜く様な鋭い目で睨むリオンに、若い騎士は語尾の音を絞っていった。
「チッ、誰を救うんだ。それより、あの山に盗賊がいる。相手は三十人くらいだ。お前等、手伝え」
若い騎士は驚愕の表情でリオンを見つめる。
固まった様に反応を無くした騎士は無視し、リオンは埋葬を再開した。
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