第一章

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騎士相手に酷い暴言を吐きながら、リオンは冷めた目で見ている。兄は眉を動かしただけだが、ハロルドは我慢出来なかった様で、騎上より降りると剣を抜いた。 「隊長より上だと、ふざけるのも大概にせんか!」 「うっかり殺しても恨むなよ。俺はお前等も恨んでるからな」 巨漢の騎士ハロルドの上段が、リオンに振り降ろされる。リオンはガラ空きの懐に飛び込み、足払いを掛ける。 すてーん…と転んだハロルドの首に、剣先をチクっと刺す。 「いいか。俺が斬りたいのは、お前じゃ無い。お前だレオン」 実の兄に剣先を向ける。 周りの騎士達は、どうしようかと困った表情だ。 賊では無い村人の生き残りが、自分達の隊長の弟なのだが、隊長を殺す様な発言ばかりしている。 そんなリオンが剣を鞘に収めると、埋葬を再開した。 「だが、リリスが悲しむ事はしない」 「…リリス。リリスは?」 レオンが彼女の名を口にした瞬間。リオンはレオンに手にしていたスコップを投げ付ける。 「お前が、お前なんかが…彼女の名を口にするな」 額から血を滲ませたレオンに、ハロルドが慌てている。 「お前が村を捨てた後、家族がどんな暮らしをしていたか。少しは考えたか?」 「……」
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