33人が本棚に入れています
本棚に追加
二階の廊下に差し掛かり、四人は未だに静かな廃病院の中を歩き続けていた。
何もいない様子にハズレではないかと頭を過るが、それでも立ち去るという選択肢は無かった。
「静かだな…」
「そうだね…あまりにも不気味だ…」
「……………」
「ふむ…やはりここもダメですね」
周囲を見渡しながら、ポツリと呟くグリーンにエリザベスが不気味だと呟く。
二人の発言に気にすることなくヒナタは無言でいると、突如ユリの声に四人は足を止める。
そこには、廊下が崩れており先に進めなくなっていたのだ。
「…ここも崩れているか…まぁ二十年も放置されていたんだ
いつこの病院自体崩れてもおかしくはないか」
「…だがどうする、ここから先に進もうにも…」
「…待って、このドア…」
先に進めないことに、この建物自体も危険だと話すエリザベスだが、先に進もうにもどうしようもないことにグリーンが呟く。
どうしようかと四人が考えこんでいると、ヒナタはふと左に視線を向ける。
そこには、板を打ち付けられたドアがあった。
「…板を打ち付けられているね…ドアが壊れ掛かっているからかな…」
「…いや、待て博士…この板…妙だ
…やけにに汚れが少ない…少なくとも20年前に打ち付けられたものじゃない」
「…なんだって?」
封鎖されたドアを見て、廃院になる前に封鎖されたのかとエリザベスが呟くが、グリーンは板の奇妙な点に気づき指摘する。
それは、やけに汚れが少ないことだ。
二十年も放置されていれば、腐っているはずなのにそんな様子も無いのだ。
しかも、釘もキッチリと打ち付けられているため、周りとは違う違和感を出していた。
「…壊してみましょうか
皆、退いて」
「待てヒナタ君、素手で外すのは無理だ
崩壊するリスクがある以上ポケモンを使えない今、まずは道具を探して…」
「っ…ふっ!!」
ヒナタが服の腕を捲くるのを見て、エリザベスは素手で外すのでは思いそれを止めようとする。
しかし、ヒナタは少し身体を捻ると、勢いよく回し蹴りをドアに向けて打つ。
その瞬間、バキィッっと大きな音を立てると同時に板は割れ、ドアも留め具が外れたのか部屋の方へと倒れたのだ。
「あっ…………」
「これで開いた…」
「ヒナタ君…その…随分たくましくなったね…」
「…おかげさまで…
それにしても、この部屋は…手術室かしら…?」
最初のコメントを投稿しよう!