第十話.七つの大罪「怠惰」

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二階の廊下に差し掛かり、四人は未だに静かな廃病院の中を歩き続けていた。 何もいない様子にハズレではないかと頭を過るが、それでも立ち去るという選択肢は無かった。 「静かだな…」 「そうだね…あまりにも不気味だ…」 「……………」 「ふむ…やはりここもダメですね」 周囲を見渡しながら、ポツリと呟くグリーンにエリザベスが不気味だと呟く。 二人の発言に気にすることなくヒナタは無言でいると、突如ユリの声に四人は足を止める。 そこには、廊下が崩れており先に進めなくなっていたのだ。 「…ここも崩れているか…まぁ二十年も放置されていたんだ いつこの病院自体崩れてもおかしくはないか」 「…だがどうする、ここから先に進もうにも…」 「…待って、このドア…」 先に進めないことに、この建物自体も危険だと話すエリザベスだが、先に進もうにもどうしようもないことにグリーンが呟く。 どうしようかと四人が考えこんでいると、ヒナタはふと左に視線を向ける。 そこには、板を打ち付けられたドアがあった。 「…板を打ち付けられているね…ドアが壊れ掛かっているからかな…」 「…いや、待て博士…この板…妙だ …やけにに汚れが少ない…少なくとも20年前に打ち付けられたものじゃない」 「…なんだって?」 封鎖されたドアを見て、廃院になる前に封鎖されたのかとエリザベスが呟くが、グリーンは板の奇妙な点に気づき指摘する。 それは、やけに汚れが少ないことだ。 二十年も放置されていれば、腐っているはずなのにそんな様子も無いのだ。 しかも、釘もキッチリと打ち付けられているため、周りとは違う違和感を出していた。 「…壊してみましょうか 皆、退いて」 「待てヒナタ君、素手で外すのは無理だ 崩壊するリスクがある以上ポケモンを使えない今、まずは道具を探して…」 「っ…ふっ!!」 ヒナタが服の腕を捲くるのを見て、エリザベスは素手で外すのでは思いそれを止めようとする。 しかし、ヒナタは少し身体を捻ると、勢いよく回し蹴りをドアに向けて打つ。 その瞬間、バキィッっと大きな音を立てると同時に板は割れ、ドアも留め具が外れたのか部屋の方へと倒れたのだ。 「あっ…………」 「これで開いた…」 「ヒナタ君…その…随分たくましくなったね…」 「…おかげさまで… それにしても、この部屋は…手術室かしら…?」
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