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ドアを蹴り壊したことに、エリザベスが呆気にとられるが、ここ十年間でたくましくなったことにポツリと呟く。
それを聞いたヒナタは、頷きながら呟くと蹴破った部屋を見つめる。
部屋の中は、手術する際に使うライトや心電図のようなのを計る機械などが置かれており、手術室なのかと呟く。
しかし、妙に違和感があった。
機器などは黒ずみ埃も被っているのだが、妙に汚れが少ないのだ。
しかも、台の上のトレーには黒く変色した何かが付着している手術道具一式が置かれている等、二十年前から放置されているとは思えない状態だったのだ。
「…手術道具一式…」
「…この台に付着している黒い汚れ…変色した血に間違いは無さそうだ…
それも、二十年以上前の血…という感じじゃ無い…」
「…まさか、これは…
廃墟となったこの病院を…"誰かが使っていた"のか…?
一体…なんの…ために…」
手術室台に付着している汚れ、そして妙に整理された手術道具一式、そしてヒナタが蹴破ったドアに打ち付けられた妙に古くない板。
それらから出た答えをエリザベスは呟いた。
二十年前に廃院となったこの病院を、その後誰かが使っていたという事実を。
「…でも、埃具合からして2・3年前って感じではなさそう…
…少なくとも、5年以上は前ね…」
「…だが、こんなとこで誰が何をしていたというのだ…」
しかし、ヒナタは埃具合からして最近までは使っていないことに気づく。
確かに、廃院後に何者かが使っていたのは事実ではあったが、それも大分前に再び放置されたとのことだった。
「…ん?
これは……」
ヒナタは、手術室の壁を調べていると、一枚の紙が貼られていた。
他のは薄汚れていたのだが、一枚だけは妙に綺麗だったのだ。
「…また…レポート…いえ、日記…?」
その紙は、最初入院患者部屋で拾ったレポート用紙とは違い、日記のようなものだった。
しかし、文字は綺麗なためヒナタは紙を手に取りじっくりと文章を読み出す。
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