第二十四話「混浴リビドー」

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  「だあああああくそおおおおお!何で大地ばっかり!俺も混浴してぇよ!入れてくれよぉ!」 そもそも、ここ地下温泉は綾子が僕と入ることを前提につくった秘湯であり、その存在を知る者自体少ない。 僕は綾子にせがまれて時々一緒に入るようになったわけだけど、場所を教えられていないはずの英司は一体どうやってここに辿り着いたのか。 「こいつ、あんたらの後つけてたみたいよ」 なるほど。それで偶然出くわした沙菜様が英司の足止めをしてくれていたのか。 「それで、英司は何故ずっと土下座をしているの?」 「俺は、絶対に……絶対に、女子と混浴温泉に入る!そのためなら土下座でもなんでもしてやらぁ!」 英司は叫び、膝より低い位置からリビドーを唸らせた。 そう、この時僕にははっきりと見えたんだ。 英司の混浴への熱いリビドーが。 目的のためなら手段を選ばず、恥も外聞もかなぐり捨てるこの貪欲さ。 僕に足りないのはこのリビドーかもしれない。 「英司……本当に、混浴に入りたいのかい?」 「ああ、もちろんだ!混浴に入るためなら何でもするぜ!」 片膝をつき、英司に目線を合わせ、僕はつい口元を歪めてしまった。 「言ったね?何でもするって。これは、約束だよ」 「ハッ、貴様謀ったな!?」 「ああ、量ったよ。僕達の未来と、英司の覚悟をね」 欲望。 それこそが、僕に足りないもの。
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