第二十四話「混浴リビドー」

9/9
前へ
/14ページ
次へ
それはきっと、この世界になくてはならないもの。 何故なら、この世界は、きっと誰かの欲望を満たすために存在しているのだから。 これが正解なのかは分からない。 正解を導き出せば問題が解けるのかも分からない。 けれど、やってみなくちゃ何も分からない。 だからこれも、実験なんだ。 「英司。君のリビドーを、僕に分けてくれないか」 「それは、どういう意味だ大地ちゃん」 「僕はこの世界での目的を見失いそうになっていた。いや、多分もう見失っている。だから、まずは目の前にあることを成し遂げたい。その手伝いを、君にしてもらうよ、英司」 「見返りは、ちゃんともらえるんだろうな?」 僕は微笑み、頷いた。 「ああ、綾子と沙菜様の二人との混浴権。これを約束するよ」 「大地……心の友よ!」 この地下学園では、約束を破ることができない。それがルールだ。 この盟約により、英司は僕の手伝いを断ることができず、僕は英司と綾子と沙菜様を混浴させなければならなくなった。 「って、何勝手に約束してんのよあんた!え、英司と混浴とか、そんなっ……」 「大地、酷い。あたしを物みたいに……でもそんな鬼畜な大地も新鮮でいいかも」 アホの子綾子ちゃんはともかく、沙菜様を混浴させるには一工夫必要となるが、それは後からなんとでもなるだろう。 「そんで。成し遂げたいことってのは、やっぱアレか?」 英司は立ち上がり、膝の土を払いながら言った。 「ああ、そうだ。ぶっちゃけ全然やる気なかったけれど、試しに本気でやってみようと思うんだ」 「そうか。楽しくなりそうだな」 英司は拳を突き出し、僕もそれに自分の拳を重ねた。 「ああ、楽しいものにしてみせるよ、学園祭」 学園祭実行委員長。 僕は今日、その役割を全うすることを、改めて決意したのだった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

466人が本棚に入れています
本棚に追加