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「ま、それでも綾子のおかげでかなり多くのことが分かったよ。ありがとね」
まるで小動物のような上目遣いを向け、綾子は「にしし」と笑いながら口から下をお湯の中に沈め、ぶくぶくと気泡を浮かべた。
綾子の頭から手を離し、自分の頭の上のタオルを押さえながら、僕も肩までお湯に沈める。
「どうやら、この世界の神様と僕らの違いは、そのDPを持っているかどうかということらしい。綾子が奪い取ったDPとは比べ物にならないほどの莫大なDPだ。それでこの世界を創り、食糧を供給したり壊れた物を直したりするシステムを構築した。そもそも神には莫大なDPがあるのか、毎晩みんなが見ている夢からDPを吸い取ってでもいるのか、その辺は分からないけど」
「え、神様ってあたし達からDP取ってたの?」
綾子はお湯から口を出し言った。
「仮説の一つに過ぎないけどね。それなら、わざわざ綾子の夢の中に神様が現れた理由にも納得できる。みんな気付けないだけで、全員の夢に神様が毎晩現れているのかも。確実にDPを得るためにみんなを12時に眠らせている、とか」
「ふーん。なら、もっぺん奪えるかもしれないねぇ」
「きっと綾子のところにはもう来ないんじゃないかな」
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