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「なら大地が仕留めたらいいじゃん」
「仕留めたらって……試そうとはしてるけど、何をどうしたらいいのかさっぱりだよ」
「そっかぁ。ま、そのうち何とかなるなる~」
向こう岸を目指して犬かきを始めた綾子の裸体から目を逸らし、湯気が立ち上る洞窟のような天井を見上げた。
実際のところ、本当になんとかなりそうな気がして、僕らはいまいち本気でこの学園の外に出ようとしていない。
今分かっていることだけでも、外に出る手段はいくつか思い浮かぶ。
どれも裏ワザのような方法ばかりだけれど。
できることなら、正攻法でこの世界を脱出したい。
そうでないと、何も解決できない気がするんだ。
一体何が問題でこの世界で何を解決しなきゃいけないのか、知っているのは神様だけなのだろうけど。
「ほらー、大地も泳ごうよー。超気持ちイイよー」
「綾子……立ち上がるなら前は隠そうよ」
こうして綾子が地下につくってしまった温泉を楽しむことが、問題解決に繋がらないことだけは確かだけれど。
***
混浴温泉から出ると、脱衣所の外はやけに賑やかだった。
「あ、刈谷大地に綾子。あんたらもしかして一緒にお風呂入ってたの?」
のれんをくぐった先には、トレードマークのアメちゃんを咥え、目を丸くして湯上りポッカポカの僕らを見つめる沙菜様がいた。
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