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東京のS駅に到着したときには、22時を過ぎていた。
ロータリーにタクシーが列をなしているS駅の西側に出て、ウチは小田切さんに電話をかけてみた。
しかし、繋がらない。
「無理か」
ウチが頷くと、ハルクは眉をしかめた。けれどすぐに頬を緩めて、ウチの頭をなでた。
「大丈夫や」
ハルクは、新幹線の中でウチの話を聞いてくれた。小田切さんのことも、悠理のことも、ラッキーチャンスの内容も、そして。
ウチの、ズルい気持ちも。
「小田切さんならきっと大丈夫や。もしかしたら、コスモポリタンのビルで鉢合わせしたりしてな」
「それ、あんまり笑えんわ」
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