初恋

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「チッ。したっぱ職員しか出入りしねーな。」 また舌打ちをし出した村上さんは、 研究所の門が見える所に路駐したまま、 ポケットから鳴り響く携帯を取り出して 「え?ヤミ金のほう動きあったんですか?」 編集長かららしき その電話に困った表情を見せた。 「わかりました。向かいます」 えっ、着いたばかりなのに また移動?! 「桃田。ここお前に任せるから」 「は?!」 「二時間ほど離れるから、三人トリオが出てきたら必ず押さえろよ。写真だけでいいから!」 え______?! 俺、 今日、出社1日目ですけど?! 「″ 僕らの党 ″ の闇献金疑惑に動きがあったんだ。俺は、そっちに回るから」 「…………はぁ」 『これまた、つまらんネタを追いかけてるな。ゴシップとかのほうが面白いのに』 俺は、渋々車から降りて、 物陰に隠れるように場所を移動する。 機材は最小限。 ″ ぼっち″ だと、ただのカメラ小僧みたいで嫌になる。 ____一時間経過。 人の出入りは全くなくなった。 門の警備員だけを見ているうちに飽きてしまう。 『ゲームでもしよっかな』 そう、子供の俺がスマホをいじり出すと同時に、 ブォン!!! と、凄い勢いで門へ入っていく車に気づく。 赤い外車____。 中には、サングラスをかけた女が乗っていた。かなり整った横顔だった。 きっと、 篠崎だ!! チキョ____!撮り損ねた!!
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