第1章

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「お帰り。武井さんOK貰えた?」 「うん。渋々だけど、大丈夫だって。」 新作ネックレス製作中の途中のラインでトラブル勃発。 外注で取り寄せたペンダントトップの殻枠パーツに弊社のロゴマークの刻印を打ってもらうことになっていた。 しかし、取り寄せた殻枠にはマークが入っておらず......私の発注ミス。 自社の工場のラインで打つことも可能だが、この製品は外注で打つことになっていたから、工程ライン窓口の武井さんに呼び出され、どやされて帰ってきた。 私、井川晶は、ジュエリー会社「Be blue 」に入社して、製品部門に配属されてから3年目に入った。 少しだけど責任ある仕事も任されて、それなにり仕事もこなしている...つもり。 『こっちも納期とか、間に合わせないとけないのに困るわ』 私より4、5歳年上、武井さんの眉間に皺を寄せた顔が今でも頭でリピートできる。 綺麗な顔立ちの彼女。それゆえに怒ったときの怖さも倍増で...。 私が悪いのは承知しているんだけど でも、落ち込む。 そんなにミスをする方でもないんだけど、 なぜか、武井さんを絡んだミスが多くて、目を付けられてる。 次やらかしたら、担当変えてって言われそう。 やっとのことで武井さんから、お許しを貰い ほっとしてデスクに座る。 「もう、気をつけなよ。武井さん。特に自分より若い女子には何気にきついから」 隣のデスクの同期で、しっかりしてる森田沙希が、私から視線をずらし パソコンの画面と睨めっこしながら励ましてくれる。 うんと苦笑いをしながら、省電力で一時的に落ちているパソコンの画面をマウスをずらし立ち上げると パソコンのディスプレイの右端に青く点滅している小さいアイコンが目に入る。 社内メール。 誰からだろうとアイコンをクリックした。 『井川課長 先日はありがとうございます。とても助かりました。 ところで、仕事のことで相談したいので手が空く時間帯を教えてください。 武井』
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