第14章

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「ちょっとなんでそんな隅っこなんだよ。こんなスペースあるのにさ、もっと真ん中に来なよ。机だってこっちの方が広い」  一番広い丸テーブルの前に、米澤さんが抱えている資料をドンと置いた。その資料の中に分厚い本があって、それがテーブルに伝えた衝撃が思ったより大きくて音が響いていた。 「あ、ごめんなさい。いつもの癖で真ん中が落ち着かなくて」  急いで自分の資料を移動させる私に米澤さんが「晶らしいね」と笑った。課長も何事もなかったかのように笑った。その笑い声が場の雰囲気を明るくさせ、まるで私と課長の間には何事もなかったんだと思わせた。もしかしたら私だけてんぱっているだけで、課長には大したことじゃないのかも知れない。  ...今は、仕事に集中だ。  米澤さんが手前の椅子に座り課長がその隣に座る、...私はその隣に座る。丸テーブルって良くも悪くも距離を取れない。こんなに丸テーブルであることが嫌だと思ったことない。  それにしてもどうしてここに課長がいるんだろう。  いや、別におかしくはないけど...。3人顔を見合わせながら、私が不思議な顔をしたんだろうと思う。それを見て課長が口を開いた。 「...実は僕がここに来たのは、...ある作戦を立てようかと思って...」
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