第1章

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食堂に着くと、券売機で日替わりを買った。低価格で程よい旨さを提供する社員食堂は、会社の人気スポット。300円投入し、出てきた食券をカウンターに持っていく。 数分待つと、本日の日替わり定食・豚の生姜焼きセット出現。味噌汁、ご飯、漬け物もついてこの値段。昨日のカフェも見習ってほしいものだ。なんでコーヒーが600円もするのだ、この定食の2倍も払ってコップ一杯。バカげている。でも、それでも売れているのだ。なんという無駄。 それでも成り立っている。 この世は無駄で出来ている。 彼と過ごした時間も、過ぎてしまった今となっては、無駄なもののように思えた。あの一年で、一体どれだけのことを犠牲にしてきたのだろう。
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