第1章

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季節はかわり、年が明け、何も変わらぬまま夏を迎えようとしていた五月の下旬。 部署の電話が鳴り響いた。応答したのは彼だった。 「はい、デザイン部…え!?わかりました、すぐ向かいます」 彼は電話を置くと、部長の元へ行き何か告げ、早々に出ていってしまった。なんとなく、理由はわかった。 その後、私の班に部長が来て言った。 「相川君、二人目が産まれるそうだ。明日来たら祝ってやってくれ」 班の中で歓喜の声が上がった。予想は的中した。それと同時に、私の中で何かが切れた。あぁ、まだ彼のことが好きだったんだ。なんて未練がましい。 次の日、入社して以来初めて私は会社を休んだ。
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