第2章

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「別れよう」 俺は目の前にいる彼女にそう言った。 彼女はキョトンとしていた。状況がうまく把握できないでいるらしい、時間差で泣きそうな顔になった。 「冗談、だよね?」 溜まった涙が今にも溢れてしまいそうで、その様子を見ればどれだけ俺に好意をもっていてくれたのかがひと目でわかった。 「冗談じゃない。君とは長い付き合いだけど、これから先の未来を考えることができない。だから…」 「嫌!悪いところ治すから…どこがいけないの?お願い、別れたくない!」 涙は溢れていた。彼女は必死だった。でも、俺には彼女を笑わせるなんて選択肢はなかった。 「ごめんな…次は幸せになってくれ」 俺が言うと、彼女は「今までありがとう」と呟き、部屋を出ていった。 きっとこれで良かったんだ。 ある8月の出来事
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