第2章

4/9

23人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
そんな俺には、彼女がいた。大学2年から付き合った。きっかけは友達に無理矢理参加させられた合コンだった。正直、俺は人と話すのがかなり苦手だ。世間一般でいうコミュ障とかいうやつだ。みっともない?引きこもりじゃなかっただけマシだろう。今となってはほとんど引きこもりだが。 「南君って…肌キレイだね」 彼女が最初に俺にかけた言葉だった。キレイというより、病的に白いだけなのだが、女性にとって肌が白いというのは羨ましいことらしい。その後さんざ白肌の秘訣を聞かれたことは言うまでもない。 彼女は一方的に話してきた。いわゆるマシンガントークだっけ。俺は聞き流すだけ。しかし、周りからはうまくいったと勘違いされた。「送ってやれ」と言われ、仕方なく大学近くにある彼女のアパートに一緒に行った。そのとき、連絡先を(半ば強引に)交換することになった。 それからキャンパス内で声をかけられるようになり、告白され交際が始まった。 「南君が好きなの、付き合って欲しい」 そのときの俺の返事に愛はあったのだろうか。その後の関係に愛はあったのだろうか。 愛なんて知らない。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加