第2章

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…なんだか、重い空気にしてしまって申し訳ない。俺もちょっと、この空気に限界を感じ、散歩に行くことにした。相変わらず筆は進まないし、描いたところで完成を待つ人もいないから気楽だ。 ブラブラと家の近くの通りを歩く。少しお洒落な雑居ビルが立ち並んでいる通りは、いつも閑散としている。もう少し人が通ってもおかしくないのだが。まぁ、静かなくらいがちょうどいい。ビルの立つ中、所々個人経営のアパレルやカフェが構えている。価格帯は言うまでもない。カフェラテが700円もする。なんてことだ。絵の具がいくつ買えるだろう…。そんなバカなことを考えながら宛もなく歩く。優雅な貴族、自由な時間は素晴らしいね。 途中寄ったコンビニで貰った求人広告を、彼女が最後に淹れた珈琲を飲みながらめくる。夜勤を探し、パラパラと目を通していると、睡魔が襲ってきた。これは、あれだ。逆らったらいけないやつだ。素直に従おう。 これが俺の1日。そろそろ改善しなくては。
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