第3章

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その週の日曜日、心地良い晴れた日だった。私は、呼び出された相川宅に向かっていた。会社最寄駅から二駅、歩いて五分ほどのところにある、今時の二階建て洋風の家だった。 ピンポーン、とチャイムを押す。ドアが開いた。 「いらっしゃい、待ってましたよ」 迎え入れてくれたのは、三十になったばかりくらいの、綺麗な人だった。生まれて間もない赤ちゃんを抱いている。 「初めまして、藤原叶和子と言います、今日はお招き頂きありがとうございます」 営業スマイル、そう言い聞かせてニッコリと笑顔を作る。大丈夫、焦らない、怖くない。 「どうぞ、入って!少し散らかってるけど…」 「ダー!」 赤ちゃんが片手をグーにして突き出した。可愛い。靴を揃え、リビングらしき部屋に行く。すると、小学生2年生らしい長男がいた。 「こんにちは、お邪魔しますね」 「…邪魔するなら帰ってよ」 随分と生意気なガキだった。
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