第1章

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九月の終わり。 まだ真夏の暑さだ。 日に焼けないようにと、肌に気を使い薄手の長袖ブラウスを着ていたが、失敗した。この暑さに気を使うべきだった。 だくだくと額を汗が流れる。 化粧を最近、ウォータープルーフに変えたが、無駄だったようだ。 先程、セレクトショップのショーウインドゥ越しに見えた鏡に映る自分は、まるで一昨年亡くなったおばあちゃんのそれに近かった。大変老けて見えたのだ。 いけない。 私は今を生きる、バリバリのデザイナーなのだから。 流れる汗をハンカチで抑えながら、呼び出されたカフェを探した。
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