第3章

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義人君はヒソヒソと続ける。 「そのとき色々教えてもらった人にそっくりだったから。叶和子さん、でしょ?」 そう言って、ニッコリする。 「すごいね、義人君。当たりだよ」 つられて私もニッコリする。 「ママね、今日は話を聞いて終わるみたいだよ、また機会があったらちゃんと話したいみたい。昨日誰かと電話してるの聞いたんだ。まるで叶和子さんを悪者みたいに言ってた。でも僕、パパから聞いたけど、叶和子さんってすごくいい人だったから、パパが浮気してたのはビックリしたけど、叶和子さんを悪者だって思ってないから。だから助けたいの」 生意気なガキ、と言ったのを訂正しよう。とてもお父さんが好きな可愛い子供だった。 「それに僕、ママそんなに好きじゃない」 そう言って、ペロッと舌を出した。 「そんなこと言ったらダメでしょう?お母さんのことは大事にしないと」 「…ちぇーっ」 ブスーっとまた膨れた。先程の憎たらしさは全くなかった。 「ね、連絡先教えてよ!パパの前のパソコンからメールできるんだ!」 そう言うので、鞄から名刺を取り出して、裏面のアドレスを指さして教えた。義人君は受け取ると、大事そうにポケットへ入れた。 「洗濯物と一緒に洗濯したらダメだよ」 「わかってるー、メールするね!」 二人で指切りをした。
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