23人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
店内をゆっくりとしたサウンドが歩く。
私がきた時と同じ、無機質なチャイムが来客を告げた。
彼だ。
私を探す、キレの長い彼の目が私をドキドキさせる。
この店には不似合いな白いジャージ姿だったが、彼には良く似合っていた。
私を見つけた彼は、思いのほか私が近くに居たためか、目が合った瞬間子供のように微笑んだ。
「いや、遅くなってすまない」
そう言いながら、私の正面に腰掛けた。
「いえ」と首を横に振った。
「何か頼んだかい?ここはサンドイッチがうまいらしいよ」
メニューを開き、目を通す。
笑ってしまうような値段だった。
「お腹はあまり空いてないので…オリジナルコーヒーのアイスを」
謙虚に、3番目に安価なコーヒーを頼んだが、それでもかなり高価だ。
彼は店内を呼び、オリジナルコーヒーとグリルサンドを注文した。
「お腹、空いているだろう。遠慮はするな、仕事お疲れ」
言わなくても気遣ってくれる、この優しさが大好きだ。
「ありがとうございます」
最初のコメントを投稿しよう!