【天乃瀬 ながめ】

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「死んでいるのか……俺達は?」 「正解です。よく出来ました」 パチパチと手を叩く黒髪の優等生。 小学生扱いかよ? と悠長に口に出す余裕はなかった。それ所では全くなかったのだ。 そして俺は後悔してしまった。 もっと早くに気付いてもおかしくなかったのに―― どうして俺は―― 「は……? 私が死んでいるだと? ……そんな馬鹿な……」 席から立ち上がり、桔梗の少女は乾いた笑いをしながらそう言う。 信じられないのも無理はない。 だが、俺は何となく信じられる。 その差は明らかだ。 「私の記憶に死んだ覚えはない!」 身体をガクガクと震えさせながら叫ぶ。 薄々感じているのかもしれない。 感じずにはいられないだろう。 今彼女は必死に記憶を振り返っている。 ここに来る直前までの出来事を―― 「何故だ? 何故思い出せない? 全て思い出した筈なのに……どうして……?」 「思い出せない? おかしいですね。なら貴女は何を思い出したのでしょうか?」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!