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彼女の俺に対する“好意”を確信したのは―
彼女がいつもの様に、部活終了時刻になっても一度も姿を見せない顧問を呼びに、小西と職員室に向かって行った後、
彼女の荷物を片付けてやっていた。
ここは田舎で、バスに乗り遅れたら約一時間は待たなくては次のが来ない。
…小西が何時間待とうと知った事ではないが、
彼女が乗り遅れて、この寒い中約一時間もバス停で待たなきゃいけないのは可哀想過ぎる。
だから俺は、彼女の荷物だけを片付けていた。
それを、顧問を連れて小西と部室に帰って来た彼女が見た瞬間―
彼女は顔を真っ赤にして、急ぎ足で俺に近付き…俺の手にあった自分の荷物を強引に奪い取った。
そして、真っ赤な顔のまま俺を軽く睨み付けて、こう言った。
「何やってんのよ!…私のじゃなく、「彼女」のやってやりなさいよっ!」
―「彼女」?
小西の事か?それとも俺に特定の“誰か”がいるって意味の「彼女」か?
そう考えてるうちに、俺の口は勝手に動いていた。
「彼女なんかじゃねぇよ」
…そう、俺は彼女の言葉を『小西を俺の「彼女」だと思っている』と判断した。
だったら間違いなく誤解だ。あり得ない。
彼女は、その俺の言葉を聞いてはいただろうが…何も返答せず、赤い顔のまま部室を出て行った。
…俺もすぐ後に続いて、部室を出た。だって俺は彼女と同じバス通学にしていたから。
…彼女が、紅い頬のまま…俺が片付けた荷物を大事そうに腕に抱いてる、その姿を見て確信した。
彼女の“心”は確実に俺の方を向いている・と―
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