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「な~んだよマツ、朝からニヤけた顔して」
教室に戻り、席に着くと同時に、隣の席の細木が話かけてきた。
ちなみに「マツ」は俺の渾名、名字が『松井』だからだ。
「…うっせぇな、何でもね~よ」
「あっそ」
ぶっきらぼうに言い放つと、細木はそう言って俺から顔を外した。…が、すぐにまた俺を見つめてきた。
「何だよ?」
俺…そんなニヤけたままなのか?
そう思って、慌てて平静を装い細木に言う。
「いや…、そういやさぁ…」
「何?」
顔に対しての言葉じゃないと分かって、少し緊張をほどいた俺に、細木は訳の分からない言葉を投げ掛けてきた。
「マツの彼女って、C組のヤツだっけ?それともD組のヤツだっけ?」
「…はぁ?!」
俺が今さっき告白され、ニヤけた原因になった「彼女」はH組だ。
つーか、俺には今現在の時点で彼女なんてのはいない。
…今日の部室で出来るかもだけど。
「…どっちにもいねーよ」
「あ、そうなん?…へ~」
細木は、何か聞きたい素振りだったが、俺の「何も聞くな」オーラに気付いたのか、それっきり黙りこんだ。
…ああ、しかし長かった。
彼女…竹中を振り向かせるまで…本当に長かった。
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