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「松井、それ何?読んでるの」
俺が部室で“特殊”な本を読んでいた時、初めて彼女から話しかけられた。
「これ?読んでみる?面白いよ」
浮かれはしゃぎたくなる気持ちを必死で抑えて、俺は笑顔で彼女に答えた。
― 使える!殺人術! ―
…………
「…いや、いいわ。松井って変わってるね(笑)」
本の表紙の文字を見て、彼女は少し引きつった笑顔で返事を返して、離れて行ってしまった。
…気を引けただけマシ、会話出来ただけマシ…
この日に限って、こんな本を持って来てしまった事を、少しだけ後悔した。
けれど ―
「松井って髪の毛、自分でセットしてんの?綺麗に流れてるね(笑)」
「いや、これクセ。寝て起きたら勝手になってる」
「え~?いいなぁ!」
その日から、彼女は普通に俺に話しかけてきてくれる様になった。
俺が話しかけても、以前の様に避ける事なく答えてくれる様にも…
一目惚れしてから約3年。
やっと、彼女と「友達」になれた瞬間だった。
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