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「言い換えると、子供だけ作って、育てるのが面倒なので捨てる、みたいな感じですね」
「…………」
ヤるだけヤる、というヤツである。
例えもアレだが、竹蔵は反論が出来なくて困っている。
なんとか反論を捻出しようとしているが、なかなか思い浮かばない。
「ゲームを買うだけ買って、積んどくみたいな、感じですね」
「…………」
「ご飯作ったけど、食べないみたいな」
「…………うー」
「牛を殺したけど牛肉として売らないみたいな」
「…………あーもう」
「学生では居たいけど勉強はしないみたいな」
「すいません俺が悪かったです!」
桜子はふんわりと柔らかく笑ってから、一言。
「本分をお忘れ無き様に」
実の所、竹蔵がこの高校に入学出来たのは、桜子のおかげである。
小学校の頃から桜子はずっと成績優秀である。
桜子に出来ない勉強は無い――――というのは竹蔵談。
桜子は毎日少しづつ勉強しているので、記憶が定着しており、試験や受験の為にわざわざ急いで勉強する必要が無い――――というのは本人談。
よって、桜子は高校受験の為に、竹蔵の家に毎日通っていた。
そしてそのかいあって、竹蔵は桜子と同じ学校に通える様になったのである。
本来であれば、桜子はもっと上の高校に行けた。
しかし、竹蔵が心配すぎてランクを落としたのである。
そう、むしろ桜子が竹蔵に着いてきたのである。
やっぱりお前ら付き合っちゃえよと思うであろうが、二人にそんな気は無い。
家族に近い間柄のつもりである。
幼なじみだから、そうなってしまうのも致し方ないのであろうか。
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