序章

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「ですが、香蔵ちゃんが帰って来るまでは、ご一緒して宜しいでしょうか?」 「まあ、いいけど」  竹蔵は呆れる様にため息をついてから言った。 「お前も好きだな、膝枕するの」 「はい」  別に二人は付き合っている訳ではない。  恋し合っている訳でもない。  だが、それっぽい行動は常にしている。  お互いに意識はしていないというのが、問題ではあるが。 「帰ったらどうせ寝転がってずっとぼーっとしているのでしょう? 枕は必要ですから」 「なるほど」  別に本当に納得した訳ではない。  桜子も何故膝枕をしたいのかも気がついていない。  まだ二人の関係は小学生以下であった。  進展するのは相当先である。 「今日は、ご両親は?」 「多分帰ってくる。深夜に」  竹蔵の両親は、遠出をしている。  親戚が亡くなったので、忌引をして車で県外へ出ている。  竹蔵と香蔵は学校があるからという事で、置いていかれている。 「だから今日も頼むな」 「はい」
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