3章

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その男は、黒南風先輩とどことなく似ていて、前髪の中央に青のメッシュが入っている。 先生に引かれながら来たそいつは、教室全体を見回し怪訝な顔した。 しかし、ふと黒南風先輩を見たかと思うと、満面の笑みに変わった。 「あれ?兄ちゃんじゃーん。朝ぶりー。なんでいるのー?」 へらへらと笑いながら手を振る。 やはりこいつら兄弟だったか… 「教室…間違えた。」 「あー。兄ちゃん去年このクラスだったもんねー。じゃあ、兄ちゃんそのまま俺っちのフリしといて!」 よろしくー。と須崎先生に掴まれてる手を逆に引き、教室から出て行こうとする。 「清々しいほどのサボり宣言ですね。」 「教師を前に堂々とブッチとは、いい度胸だ…」 須崎先生は、グッと立ち止まりその間に夜長先生が扉の前に立ちはだかる。 「サボりはダメですよ、黒南風君。今日は午前中で終わるんですから、頑張りなさい!」 須崎先生は、黒南風(弟)の手を両手で包み優しく諭す。
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