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「~っ!ありがとう!!」
迷子はバッと効果音が付くほど、勢い良く頭を下げながらお礼を言うと、眼鏡が吹っ飛んだ。
今度は勢い良く顔を上げ満面の笑みを見せたが、ボサボサの髪で顔半分が見えない。
面白いが、顔が見れると期待した反面ちょっと損した気分になった。
「ぷっ、ぶくくく…お前面白いな。」
「おら、眼鏡。」
さっきまで怪しい奴と警戒していた透琉も、人見知り発動していた柊もさっきので緊張が解けたらしい。
良かった良かった。
「よし。んじゃあ、行くか!えーと…」
「あ、ぼ…オレ如月薺(キサラギ ナズナ)って言うんだ!宜しく!」
「如月か、よろしくな!俺は神無月棗。」
「柊霜月。」
「俺は田山透琉ってんだ!“なずな”って可愛い名前だな。」
「薺じゃなくて“如月”って呼んでくれ!!」
「何でだよ、可愛いじゃねぇか!な・ず・な・ちゃん。」
「ぐぬぬ…」
「透琉、嫌がってんだから止めてやれよ。ほら、如月もコイツを相手にするだけ無駄だから行くぞ。」
「おら、歩け。」
柊は、空腹の限界だったのか透琉のブレザーの後ろ襟を掴みズルズルと引きずりだした。
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