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通された部屋はごく普通のビジネスホテルのツインだった。
蒲生は手慣れた様子でトレンチコートをハンガーにかけ、ネクタイをゆるめた。
それからあやの前に手を差し出した。
一瞬どきりとしたが、すぐにコートを肩から落として彼に渡した。
二人分のコートが壁に並ぶと、蒲生は重そうなブリーフケースをデスクの上に置き、傍のマッサージチェアに体重を預けた。
「このホテルは残業で家に帰れなかったときによく使ったものです。ああ、折笠さんもかばんをそこへ置いてください。それから」
あやが同じようにデスクにバッグを置くと、蒲生はこう言った。
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