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-序章-
ルナブル・ドミニュイ・サン王は、
王宮の天辺に位置する
”王の間”で時が来たことを悟った。
南に位置するノートル・オーシャンの岸壁に停泊しているヌワール国の船の大群。
島国である我がルナブル王国へと攻め込んでから10日余りの間に、
我が国は、
戦火に焼き尽くされていた。
燃え盛る街。
民衆の悲鳴。
泣き叫ぶ赤子。
最後の砦を破り、
我が息子ヴァント王子の首を、
高らかに掲げるヌワール国の騎士。
その姿を観ても尚、
両足を失った私は、
この塔から戦いの場へと進めないことが悔しい。
車椅子の羊革の肘置きを強く握り締め、
かつて無いほどの憎しみをヌワール国へと感じた。
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