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「おのれヌワール....、
おのれ、
おのれ!!」
義足の両足を叩きつけ、
その手から血が滲みはじめたが、
痛みよりも、
深い哀しみにほうが勝っていた。
剣戟(けんげき)の音が次第にこの王の間のすぐ近くまで近づいている。
数千年と守り続けたこの国を敵国に奪われる瞬間を、
見届ける。
それが、
私の王としての最後であるなんて.....
敵の手にかかる前に、
自ら自戒しようと、
椅子の尻に隠した小型のナイフを取り出し首筋に当てた。
「ルナブル王国....万歳」
「.....お待ちください。
サン王」
ふっと、
ナイフを引く手を止められ、
ぎょっとしてその指先を眺めた。
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