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俺はこの春から晴れて花の高校生になるわけだが、心の中まで晴れ渡っているわけではない。
というのも、中学時代に俺は友達という存在がほぼいなかったからである。
中学時代に友達がいないとなれば、高校入学という節目を使って自分を変えればいいと思うかもしれないが、人はそんなに簡単に変われるわけがない。
高校生になるといっても、中学のころのメンツも少なからずいるわけだから突然俺がイメージチェンジをすれば、高校デビューだと思われるに決まっている。
だからこんなに桜の花が綺麗に咲いているというのに、こんなに憂鬱な気分にもなるというものだ。
そんなことを考えている今まさに、校長が「希望や期待を胸に入学してきたことでしょう」などと語っている。
まったく、そんなものを抱いて今ここにいる人はどのくらいいるのだろうか。
まあこうやって、いかにも根暗に語ってきたわけだが、俺も多少は期待しちゃったりもしている。
環境が変わるということは否応にも俺に影響を与えるはずなのだから。
別に俺は不変を望んでいるわけではない。
少なからず嫌だとは当然思ってきた。
だから、校長の言葉を借りるとすれば、希望はないが期待はしている、ということになるのだろうか。
同じ姿勢に疲れ、いろいろなところが凝ってきたとこで目立たないように気伸びをする。
校長の話、というところで察しはついているかもしれないが、今は入学式の最中である。
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