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それにたいして俺は苦笑いで返し、視線を前へと戻す。
こっそりともう一度視線だけ彼女のところへ向けたが、彼女はすでに前に向き直っていた。
それから、自分の列が何番目なのか数えてみる。
入学式の席はクラスごと、2列になって並んでいる。
つまり、一つ前の列に座る彼女とはもしかしたら同じクラスかもしれないのだ。
そうして数えてみると彼女は奇数列、俺は偶数列であった。
つまり、彼女とは同じクラスということに……。
もう一度数え直してみるがやはり同じクラスのようだ。
この時、俺は初めて強く期待してしまった。
希望といってもいい。
いいや、もっとこの状況にあった言葉を選ぶなら、運命であろう。
さっきまで灰色の高校生活しか想像できていなかった俺が、運命なんてものを感じてしまった。
見たことも、知るよしもなかった桃色というものに期待しちゃったりしながら……。
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