His little friends

11/16
前へ
/16ページ
次へ
車は彼がいつも三十分かけて走り抜ける町を、あっという間に通りすぎ、低い山が連なった広大な住宅造成地に差しかかる。 今でこそ隙間なく建物に埋めつくされたその辺りは、雑木林に空き地と建設機械ばかりが目立つ何もない場所に、鉄塔と広い道路だけが何処までも続いていた。 ミウラは、幾重にも楕円形が重なった、目が回りそうな侵入路を抜けて、第三京浜に乗り入れた。 本線に合流すると、男は助手席の彼に向かってニヤッと笑い、 「おい、シートベルトはしっかり締まってるよな」と、念を押した。 彼は興奮で震える声で「うん。大丈夫」と、こたえた。 「飛ばすぜ」 男はギアを変えると、アクセルを踏みつけた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加