第1章

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十分に水を堪能すると、再び木陰で休む。しばらくはこの涼しさの余韻に浸りたい。 しかし、相変わらず周りの気配を警戒しながら寝てしまう。 すると、何処かで枝を踏む音がした。乾燥した響きが伝わる。 顔をあげてそちらを見ると、のっそりとした動きで水場に近づく大きく黒い影。 熊。 自分よりも遥か大きい。 だが、幸いこちらには気付いていないみたいだ。しかも、脚でなら負けるはずがない。 しばらく熊の様子を見ていることにする。 熊は水場につき、水を飲み始める。気付かず。 熊はゆっくりと水を飲んでいる。まだ気付かず。 いまだに水を飲み続ける。長い。 ようやく飲み終わり、その場に座って毛繕い。 飽いた。 起き上がると、気付かれないように慎重にその場を後にする。こちらとて、熊をずっと見つめられるほど暇ではない。
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