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十分に水を堪能すると、再び木陰で休む。しばらくはこの涼しさの余韻に浸りたい。
しかし、相変わらず周りの気配を警戒しながら寝てしまう。
すると、何処かで枝を踏む音がした。乾燥した響きが伝わる。
顔をあげてそちらを見ると、のっそりとした動きで水場に近づく大きく黒い影。
熊。
自分よりも遥か大きい。
だが、幸いこちらには気付いていないみたいだ。しかも、脚でなら負けるはずがない。
しばらく熊の様子を見ていることにする。
熊は水場につき、水を飲み始める。気付かず。
熊はゆっくりと水を飲んでいる。まだ気付かず。
いまだに水を飲み続ける。長い。
ようやく飲み終わり、その場に座って毛繕い。
飽いた。
起き上がると、気付かれないように慎重にその場を後にする。こちらとて、熊をずっと見つめられるほど暇ではない。
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