第1章

4/5
前へ
/5ページ
次へ
鳥が残していった鹿の残りを頂いた。臭いで分かるが、まだ殺されたばかりの鹿の新鮮な肉だ。ありがたい。 まだ物足りないが、空腹が紛れただけマシだ。しかし、相変わらず喉が渇いている。 今いる場所が何処かは分からないが、森の中ならば近くに水飲み場があるはずだ。 そう考え、また徘徊するように、今度は水飲み場を探しに行く。そして、ついでに獲物も探しに行く。 途中で兎を見つけ、喰らった。まだ足りない。 どのくらい歩き回ったのか分からない。だが、日は起きたときよりも遥か高い位置に移っている。だいぶ歩いたみたいだ。 一向に見つからない水飲み場を相変わらず探し続けるのにもいい加減嫌になってきた。 そこら辺の木の根元で横になり、休憩する。 辺りに相変わらず気を配りながら目を閉じる。もしも獲物が通りがかったときにすぐに襲えるようにするためだ。 そうしながら長い間休む。残念ながら近くを手頃そうな獲物が通ることはなかったが、休んだおかげで歩く気力は回復した。 再び歩きだす。 しばらくすると、水の音が聞こえてきた。近くだ。音のするほうへ走り出した。 視界がひらけ、川に出る。清らかそうな流れに魚が泳いでいる。 だが、それより水だ。 川に近づき口を近づけ、水を飲む。 冷たい水が喉を潤す。こういうときは、何故だろうか太陽に感謝したくなる。暑く照らしてありがとう。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加