第1章

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再び一人きりになった服部は、今頃部屋で開花しているであろう月下美人のことを思った。 若旦那の言うことが本当なら、今頃あの部屋には康子が花を愛でながら、彼のことを待っているのかもしれない。 だが実際に見たこともないものを信じるのは難しい。 それを人にわかってもらうことの厳しさも、身をもって知っている。 だから若旦那の問いかけには返答しなかった。 だがフト思い出す。 布団に入ったとき、あの花の方向から微かな物音がしたことを。 あの時は花が開く音だと勝手に思っていたが、果たして本当にそうだったのだろうか……。 image=482911208.jpg
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