権利を得るため殺しあう

2/3
前へ
/3ページ
次へ
意識が朦朧としたと思ったら、白い空間にいた。自分以外にも、大量に人がいた。回りは人だらけ。何処を見ても人がいる、そんな状況。 皆知らない。いや、一人は知り合いも居るかもしれないが、この人混みじゃあ分からない。 さて、と。これはいったいどういうことだ? 思案を始めようとしたとき。不意に上空から声がした。 「君たちが転生するにあたって、まずは基礎的な知識の説明をさせて貰うよ」 男とも女ともとれる、中性的な声。それを聞いた者たちの反応は様々だ。突然聞こえた声に慌てふためく者。転生という単語を聞き、狂喜する者。 自分は、我関せずと、ただ静観している側だ。 声は続く。 「さて、と。まず、君たちが全員転生出来る訳じゃあないことを教えておかなきゃならない。世界は小説のように、ご都合主義で動いてる訳じゃあない。転生するための枠は、自分の力で掴まなきゃね」 どういうことだ、と。狂喜していた者が動きをとめる。声はそれを無視して話を進める。 「で、まぁ、大体の確率を先に行っとくと、君たちが転生できる確率は1/10000。つまり、この場に集まった者たちの内の、一人だけが転生する権利を得るってわけ」 絶句している人間を放置し、声は告げる。 「じゃあその他の9999人はどうなるかって、皆疑問に思ってるよね?その疑問に答えてあげよう。答えは――――死だ」 空気が凍った。全員、声も出せずにいる。 「権利を得れなかった者には死んで貰う。というより、君たちが転生する権利を得るために殺しあう、ってのが正解だね」 その一言に、一人の人間が声をあげた。 「はぁ!?何で俺たちが殺しあわなきゃいけないんだよ!そんなの絶対に嫌d―――」 爆散。声をあげた人間の頭が吹き飛ぶ。血を吹き出しながら、倒れる身体。残念、正義感のありそうな彼は死んでしまったようだ。 連鎖する悲鳴。一人の人間が彼の死に悲鳴をあげ、それに釣られてこれを見てない人間もよくわからないまま悲鳴をあげる。 五月蝿いなあ。耳がイカれそうだ。悲鳴がやっとおさまる。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加