頭ノナイ

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 「この部屋の状況をまとめると…この死体はカンノさんで頭がない死体でこの部屋は密室だったって事か」 「何で密室が出来たの?」 「俺に聞かれてもな…。いや、でももしかしたら俺ら以外の人間が殺したとかは?」 「連続殺人?」 「そうそう。殺人鬼ジェイソンがチェンソーを持ってカップルばっかり襲うんだろ」 「怖いよ、ちょっと」 「…それはないだろ?」と大幅に脱線してしまった路線を僕が修正を施す。 雷が轟く。 「まぁそれもそうだな。こんな酷い雷雨で山奥なのに人がこっそりと来そうでもないし」 「ヒィー…雷こわっ」 「アオイはびくびくしすぎ」 「え、だ、だって怖いものは仕方ないもん……」 「………ははは…アオイは………?」 ミヤビの顔が少し歪む。目は泳ぐ。 「だって?」 そんなミヤビの顔を見て俺はクスリと笑う。 密室? そんな馬鹿な事があるわけがないだろう?  だって! 第一発見者の! 俺が殺したんだから! 「…え、どうかしたの、サトウくん?」 「どうもこうも…お前らってやっぱバカだな」 死体の足元に隠していた斧を手に取る。カンノを殺した時の血がまだ乾いていなくて俺の顔に付く。 「―――――、ぁ」 くっぱぁと引き裂かれたアオイの首元から血が溢れ出す。 くぽぽぽぽ。 「え、あ、ぁ、アオイ、ぇ、な、なんで、あ、な、な、は…!!!!」 「…ひひっ、いや、だってさぁ。ミステリー小説でよくあるじゃん? クローズドサークルってね。いやそれは全滅物殆ど無いか…、まぁ全滅しちゃってもいいよねー。だってさ、ここはほぼ絶海の孤島なのだから」 「だぁ、ぁっ、だぁからっ、俺らを、殺さなくても……!!」 「まぁ確かにそうなんだけどさぁ…」といって俺はリンタロウの腹を狙って刃を翳す。 「ぁ、ちょ、ぁ、ゃ、やめ、やめ、ぅぃぅうぅぅうううぁあぁっぃいぃぃいぃいぃぅうぅううう………!!!!」 リンタロウの顔は落ちた。
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