第三章

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はじきちゃんは、茫然とした顔で彼の顔を見て立ち尽くしてこう言った。 「翔平・・」 翔平?彼の名前は違うけど・・どういうこと? 私は、彼の顔を見た。 すると彼の顔がみるみる青ざめて、唇がガタガタ震えている。 どういうこと? 翔平って誰? 二人は、どういう関係なの? 「お久しぶりね、翔平。まさかあなた、また婚活中の女性や、独り身の女性に詐欺商売してるなんて。今度は、投資マンションですって?」 はじきちゃんは、数枚の紙を右手でバンッと彼の目の前に突き上げた。 「被害総額、二億・・。これで、本当の彼女と住んでる豪邸買って本当は暮らしている。 あなたは、甘いマスクに甘い言葉で女達と、様々な契約を交わしてきた。 契約が終わったら携帯の番号を変え、被害者の前から一切消える。 そして、また新しい名前に新しいキャラクターを形成しまた別の女性の前に現れる 。こんなことを、繰り返し続けて・・。 この、人間の屑が。アキコに代わってお仕置きしてくれるわ。」 と、はじきちゃんが言うと。 クローゼットから隠れていた警官が数人現れ、あっという間に彼を取り押さえた。 彼は、逮捕されたのだ。 一体、私には何が起きたのかさっぱりわからない。 どうして? 彼が、詐欺?私を騙す? 彼に本当の彼女がいる? 豪邸に住んでいる? どういうこと? どうして? 私達は、これから一緒になって。マンション買って。 これから。これから。 二人の生活が始まるはずだったのに! なにがなんだか。さっぱりわからない。 頭の中。ぐちゃぐちゃすぎて・・・・何も整理できない。 気づけば、自然と涙がポロポロと溢れてきた。 そんな意識茫然とした私の手をそっと息子が手を握ってくれた。 それでも、息子の手はとても暖かかった。
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