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はじきちゃんは、茫然とした顔で彼の顔を見て立ち尽くしてこう言った。
「翔平・・」
翔平?彼の名前は違うけど・・どういうこと?
私は、彼の顔を見た。
すると彼の顔がみるみる青ざめて、唇がガタガタ震えている。
どういうこと?
翔平って誰?
二人は、どういう関係なの?
「お久しぶりね、翔平。まさかあなた、また婚活中の女性や、独り身の女性に詐欺商売してるなんて。今度は、投資マンションですって?」
はじきちゃんは、数枚の紙を右手でバンッと彼の目の前に突き上げた。
「被害総額、二億・・。これで、本当の彼女と住んでる豪邸買って本当は暮らしている。
あなたは、甘いマスクに甘い言葉で女達と、様々な契約を交わしてきた。
契約が終わったら携帯の番号を変え、被害者の前から一切消える。
そして、また新しい名前に新しいキャラクターを形成しまた別の女性の前に現れる 。こんなことを、繰り返し続けて・・。
この、人間の屑が。アキコに代わってお仕置きしてくれるわ。」
と、はじきちゃんが言うと。
クローゼットから隠れていた警官が数人現れ、あっという間に彼を取り押さえた。
彼は、逮捕されたのだ。
一体、私には何が起きたのかさっぱりわからない。
どうして?
彼が、詐欺?私を騙す?
彼に本当の彼女がいる?
豪邸に住んでいる?
どういうこと?
どうして?
私達は、これから一緒になって。マンション買って。
これから。これから。
二人の生活が始まるはずだったのに!
なにがなんだか。さっぱりわからない。
頭の中。ぐちゃぐちゃすぎて・・・・何も整理できない。
気づけば、自然と涙がポロポロと溢れてきた。
そんな意識茫然とした私の手をそっと息子が手を握ってくれた。
それでも、息子の手はとても暖かかった。
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