第二章

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「亜紀子さん。こんばんは。学君の風邪治りましたか?早く良くなるといいですね(*^_^*)今度、お見舞いに行きますね。」 「亜紀子さん。おはよう。学君、牛乳飲めるようになりましたか? カルシウム不足で背が伸びなくなるんじゃないかって、いつも亜紀子さん悩んでいたから。僕、色々牛乳を使用したレシピ考えたんです。今度、作りに行ってもいいですか?」 彼は、息子を気遣うようなメールをしつつも、さりげなく・・・いや結構強引に家に来るようになった。気がつけば私の家でいつの間にか料理を作るようになった位だ。 息子は、最初は不思議そうな顔をして彼を見ていたが、彼の作る料理は本当に美味しかった。 まさに、胃袋は心を掴むとはこの事だと思った。 息子は、彼の料理を本当に嬉しそうに食べた。 それでも、私達が二人で仲良く話しているときは、ドアの隙間から、じっと何も言わずに眺めている子だった。 このような事が、過去にもあったような気がした。 あれは、いつの事だっただろうか・・。 あっ。思い出した。 昔、暴力癖のあった元カレと復縁していた頃。私は文鳥を飼っていた。 いつも、文鳥は私達をじっと眺めていた。何も鳴かずに。 私は、いつもそんな息子の顔を見たあとはそっと頭を撫でた。 さみしそうな顔をしたときは、そっと抱きしめた。 彼には、正直どんどん惹かれている。 でも、私より10個も年下。 しかも出会いは、職場の窓口。窓口で裏にアドレス書いてある名刺貰うなんて、だいたいナンパな男が誘う手口だし。昔は、コレで一体何回コンパに誘われたことかしら・・。 おまけに、私は未婚の母。 こんなに、若くて色が白くて料理も上手くてハンサムな男性が。本気で私なんか相手にしてくれると思う? 私は、彼の事を考えれば考えるほど悩んだ。
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