第一章

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君は、やがて。 僕以外の他の男の話もするようになったね。 「ダイチャン。昔、私に毎日電話かけてきた人がいたの。 でも、その人。最近結婚したみたいなの。 私も、人から聞いたわけじゃなく。 たまたまFacebookで彼の結婚式の写真がアップされているのを見て、はじめて知ったの。 その時、ふと思いだしたの。昔、彼が毎日電話かけてくれた頃のことをね。 彼は、うん。うん。っていつも私の話を頷いてずっと聞いてくれるだけだったの。 当時の私には物足りなかったの。 毎日連絡していれば。 気持ちがそれでも変わるかもしれない。 だから、毎日彼の電話をとって。 毎日話を沢山したの。でも、無理だったの。 当時は、他に私にも好きな人がいて。 どうしても、彼を越えることは出来なかったの。 でも、今思うの。 今こうして、ダイチャンが毎日私の話を聞いてくれる時があって。 特に言葉は、いらない。ただ、聞いてくれて。そばにいてくれて。こういう幸せもあるんだなって。やっと、私もわかってきたのかな。 もし、今の私が。あの頃のあの人と出会い。そして一緒になっていたら。 私は、幸せだったのかもしれない。って、思ったの。 僕は。思う。 いや、違うよ。 きっと、今の君が昔に戻ってその男に会おうと。 その男が今にタイムスリップして君に会おうと。 僕は何も変わらないと思うんだ。 すれ違いも縁なんだ。 何かを学ぶ為に、君はその男に出会った。 何かを学ぶ為に、その男は君に出会った。 そして、その男は。 運命の人に出会っただけなんだよ。 幸せな男の写真を見て、隣のウェディングドレスの女を見て。 ふと、羨ましく感じただけなんだよ。 君は。 だって、君は そんなこと言いながらも その男を愛してないじゃないか。 だって、君が 僕につけた名前の男は、 別の男なのだから
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