第三章

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やがて、ヨシヒコは此処を離れて。 ヨシヒコの会社の近くで暮らしたいと言ったんだ。 マンションを買って、一緒に暮らそうって言い出したんだ。 亜紀子は、凄く悩んでた。 その後、昔仲良かったという男友達に相談してたんだ。 でも、結局その男友達も。実際ヨシヒコのことを話したわけでも見たわけでもない。 当たり障りのない「いいと思うよ!」という台詞で亜紀子の背中を押したんだ。 そりゃそうだ。君だって背中を押されたいから。 わざわざ反対しそうな女に相談しないで、ほとんど連絡してない既婚者の男に相談したんだ。 新婚で幸せ真っ盛りの男からしたら、昔口説いた女の恋愛相談なんて。正直、どうでもいいだろう。なんで、毎日君のことを見てる僕に何も言わないんだよ! それに、僕は見つけてしまったんだ。亜紀子が、家のパソコン放置していて。フェイスブックが開きっ放しだったから。少しだけ、ネットサーフィンしたんだ。君にバレないようにね。 そしたら、あの男が他の女と一緒に写っていた写真を発見したんだ。 君とは繋がってなかったけど、君の女友達の「はじき」という子の繋がりにいたよ。この男。しかも、ヨシヒコなんて名前なんかじゃなかったんだ。 フェイスブックでは、山田大樹という名前で登録されていた。ヨシヒコは偽名で、年齢も偽っていたのか。全然見えなかったけど、本当は30越えてるのか・・。どうも彼女とエステサロンを共同で運営しているみたいだった。 調べれば、調べるほど。彼には色んな名前があった。 山口良太、外内翔平、吉川吉彦・・ 様々な名前を使って色んなセミナーを開いている人間だった。 マンションのことも調べた。 投資マンションの営業もやっている・・これか。 亜紀子、これはやばい。 これは!婚活につけこんだ、投資マンション詐欺だよ! ネットサーフィンで色々調べたんだ。最近、婚活を利用したマンション詐欺が増えてるってね。生活感を匂わせておいて、マンション契約したらトンズラするというものらしい。 亜紀子を、もう泣かせるわけにはいかない! 僕が、彼女を守る。 何がなんでも! 僕は、亜紀子のフェイスブックから、はじきという女にメールした。 この女なら、何か知っているかもしれないって。 直感で、思ったんだ。
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