第一章

1/8
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ

第一章

僕は文鳥 君のペット 僕がはじめて君に出会ったのは。 沢山の僕の仲間の中から、君に選ばれた。 あの日からだったね。 君と目があってから、君は大きなキラキラした瞳で僕をじっと見て動かなかった。 気がつけば 僕は君の掌にのって 君はつついたり 撫で撫でしたり またつついたりしたね。 そして、君はいつも僕を見て クシャっと笑うんだ 君は僕に、「ダイスケ」という名前をつけた。 理由は僕も知らないけど。君がつけた名前だから、気に入ることにしたんだ。 僕は、毎日君から「ダイチャン」と、アダ名をつけられ 腹をちょんちょんとつついたり くすぐったり。撫で撫でしたり。 またつついたりしては、ダイチャンダイチャンと僕を呼んだんだ。 僕と君との二人きりの生活は こうして、始まったんだ。 そして。君は、やがて僕に沢山つぶやくようになったね。 「ダイチャン、最近ね。 私。思うの。 私。結婚出来るのかなって。 段々出会いが減っていくの。 いつも飲み会誘ってくれた、はじきちゃんにも段々誘われなくなったし。 私、何かしたのかな? それとも、はじきちゃんに相手が出来たのかな? 今日も、友達から披露宴しますので来て下さいってメールがきたんだ。 嬉しい反面、不安にもなるの。 私にもこんな日が本当に来るのかなって・・。」 君は、心に不安を抱える度に 僕の胸をちょんちょんちょん突ついては ふぅと溜息をついていたね 僕は君の癒やしの存在になれているのかな 時々不安になるよ 僕はいつもこうしてただ君の側で存在することだけしか出来なかったからさ 時々君は僕を掌でくるみ、掌をパッと開いて僕を自由にさせてくれたね。 僕は君の部屋を、いつも思い切り羽ばたいていたね 君は。 僕のそんな姿を見ては、いつも最高の笑顔を見せてくれたんだ。 君の笑顔がもっと沢山見たいな。 僕は、君が笑う度に思ったんだ。 本当だよ。 君が心から笑える時を。 もっともっと沢山増やしたい。 僕は思いの丈を込めて いつも君の前で思い切り羽ばたいてみたんだ。 君がさみしそうな時は 思い切り突つかれてみたりしてさ。 そして、君は。 君が優しくなりたい時に いつも。そっと僕を撫でてくれたね。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!