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しゃあない
心優しい一裕くんが歩み寄ってあげますか
椅子から立ち上がると、
僅かに反応する井本
ぎゅって抱きつくと
身を捩りながら
「やめろきしょい」
でも逃げたりはせぇへん
抵抗もないし
むしろ大人しくなってる?
「ちょっとだけ、」
え、という呟きは聞こえないふりで
「ちょっとだけ、こうさして」
後ろから抱き締めた体勢のまま
首筋に顔を埋めた
お前はめんどくさいっていうから
寂しいなんて言わん
けど
相方の
恋人の特権として
言わない代わりに
隣に居さしてや
言葉にならないそんな感情が
喉を灼く
自然と抱き締める腕に力が入って
二人が密着した
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