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「私はあなたが嫌いです」
そう言い放たれた、晴れ渡る青空の下、屋上で、蝉のなく頃。
彼女の顔はとても迷惑そうな、嫌な、やはりダメだったか。
「あ、あの、その…?」
ジロリ、と舐められるように注がれる華奢な視線。僕の喉元に涎が流れる。そして彼女は何も言わずに屋上から出て行ってしまった。たった一人、ポツンとある蝉の死骸と泣いている自分。
何て、ダサいのだろうか。わかっていた事なのに泣くだなんて。
「……」
だから僕は誘っても帰られてしまったリストカットだらけのクラスメイトを放って。
柵を乗り越え飛び降りた。
その感触はまるで、あの日溺れてしまった海のようで、僕は、僕の足はずっと揺れていて、涎を吐き続けていた。
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