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「そうじゃな、じゃあまずはわしと手を繋げ」
「ええええっ……!」
アリシアはにっこりと手を差し伸べてきた。この状況にあたふたする僕。
「いっ、いいんですか僕なんかがあなた様と手を繋ぐなどという愚かな行為を……」
「何で照れとんじゃ…………?むしろわしに殺されるんじゃないかと怯えるのが妥当じゃないかの?」
殺される?……ああそうかこの少女は世が恐れる立派な殺人鬼だったな。
恐らくすっとんきょうな顔をしていた僕に、アリシアは「やっぱりおかしなやつじゃの」と苦笑いをした。
確かにそうだ。僕は「母親を殺した犯人」について知っていると言ったアリシアを、疑わなかった。あれほどネットやマスコミに取り上げられながらも、消息を掴まれていないのだ。嘘の一つや二つくらいお手のものだろう。
それでも疑わなかったのは、何故だろう。
ぐずぐず考え事をしていると、アリシアの方から手を繋いできた。僕の肩が跳ね上がる。
「随分と積極的ですね」
「うるさいうるさい、ええか、今からアンタとわしは兄妹という設定じゃ。それなら誰にも怪しまれんからの」
「えっと……つまり僕がお姉ちゃん役でアリシアさんが弟の役を……」
「……さっきから熱でもあるんかの?」
アリシアは呆れ顔をしている。自分でも薄々気づいていたが、多分僕は今とてつもなくテンションが高い。
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