僕と少女と駄菓子屋

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アリシアという異次元的な人物に遭遇出来て、現実を忘れられているのかもしれない。しかしそれだけじゃなくて、僕は単純にアリシアに憧れているのだ。きっと。 殺人鬼に憧れるなんてやはり僕はどうかしているが、誰にも手を借りず、一人で生き抜く様はとてもかっこいい。誰かに助けてもらわないと生きられなかった自分とは正反対だ。 だとすればどうして僕なんかに手を差し伸べてくれたのか、いまいち理解出来ない。さっきから不可解なことばかりだが、これがアリシアを「謎の殺人鬼」でいさせる理由なのだろう。 住宅街を手を繋いで歩いていると、ここで向かいから子連れの夫婦が歩いてきた。男の子を間に挟んで歩く二人は、とても幸せそうな笑い声をあげている。 何だか緊張してきた。僕まで殺人鬼になったみたいだ。 「お兄ちゃん、もう歩けないよぉ~」 完全な妹モードに突入したアリシアが、上目遣いで駄々をこねてきた。 か、かわいい……! 「ほ、ほらほら、お家までもうすぐだからな」 高揚した気持ちを慌てて立て直し、僕もお兄ちゃんモードに入る。すれ違う際に「しっかりしたお兄さんね~」「この子もあんな風に育ってくれるといいな」という夫婦の会話が聴こえた。 上手く切り抜けられたようだ。それに加えて褒められたことが嬉しい。 「顔が緩んどるぞお兄ちゃん。ただアンタの演技力は中々のもんじゃった。助かったぞ」 アリシアにまで褒められてさらに表情が緩くなる。
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