僕と少女と駄菓子屋

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アリシアが名前の由来について語り始めた。彼女からしたら僕は相当な変人なのかもしれないが、彼女も十分引けを取らない変人である。 「ま、それに街中であんまりその言葉を騒がれると捕まるかもしれんからの。何せお前の家の周りは警察でいっぱいじゃし」 どっちかと言うとそれが本音ですよね。 通学路の一角でもある石橋の上を通ったとき、あることを思い出した。アリシアの手を引いて、錆び付いて今にも崩れそうな階段をかけ下り、川べりへ。からからと、水の流れる音が心地いい。 「どうしたんじゃ?」 「まあ付いてきなって」 コンクリートで固められた壁を伝いながら、先程の石橋の真下へやってきた。岩にぶつかって飛来する水しぶきが、僕とアリシアの体に潤いをもたらす。真夏の真昼の太陽を石橋が防ぎ、ぽっこりと影が出来るからさらに涼しい。 「ここなら誰にも見つからないし、水の音に紛れて外からじゃ声も聴こえない。それに涼しい!」 「おお~アンタ中々やるのお」 アリシアが嬉しそうで何よりだ。間近で見ると、本当に妹とか、近所の小さな女の子にしか思えない。 「ほいで、さっきの話の続きなんじゃが……普段呼ぶ用の名前を考えてほしいんじゃ」 「よし、"ミサキ"で行こう」 「もう少し悩んでも良かったと思うがのう。じゃあそれでお願いするわい」 「ちなみに一年前に死んだ犬の名前だ。そりゃーもうかわいくて……」 「わしの名前に別の感情を付随せんで欲しいがのう」
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